Ma-jin Square

top page > 外法帖 > インターバル

インターバル

第九話〜第拾話
内藤新宿
【桔梗】
どうしたのさ、こんなとこで。あたしは天戒様のいいつけでちょいと細々とした用事をね。
それにしてもさ、新宿に来ると感じるよ。世の中の乱れ、米不足、物不足―――、そこから生じる人々の心の乱れってやつをね。
もう、この国は駄目なのかねェ。
駄目 【桔梗】悲しい事をいうねえ。でも、本当に気が滅入る光景だよ。米が食えないっていう子供や年寄りを見るのはね。
そんな事はない 【桔梗】
そうだよね。見込みがあるって信じてなきゃ、本当に何もかも駄目になっちまう。
ふふッ。あんたのお陰で、少しはましな気分になったよ。
どうもありがとう―――。
よくわからない 【桔梗】
そうだね・・・。あたしたちみたいのは考えるだけ無駄かもしれないね。
ま、いいさ、そういう事は天戒様がお考えくださるからさ。
あたしやあんたは、あの方の手足であればいいんだよ。
【風祭】
そんな事より、お前、聞いたかよ?港の方で《打ち壊し》があったってよ。俺も行ってみたかったなあ。
へへッ―――。お前もそうなんだろ?
行きたかった 【風祭】
だよなあ―――、《打ち壊し》。いい感じだよなあ。男って感じがするよな。
ところでよ、《打ち壊し》って何するんだ?
行きたくなかった 【風祭】
何だよ、カッコつけやがって。
別に、お前と一緒に行きてえって訳じゃねェよッ。ばァか!!
民を憂う 【風祭】
あ、ちょっと待て!!難しい話になりそうだな?じゃあ、俺は遠慮しとく。あとはお前に任せるぜ。んじゃなッ。
【奈涸】
やあ、君か。
世の中、不景気だ不景気だというが、俺の商売には追い風でな。こんな時期こそ、意外な掘り出し物が出るんだ。みんな背に腹は代えられぬ―――とばかり、貴重品を持ち出すからな。
おっと、こんな事をいうと、少し不謹慎だったかな?
不謹慎 【奈涸】
まあ、商売だからな。
それじゃ俺はこれから人と会う約束があるんでな。これで失礼するよ。
不謹慎ではない 【奈涸】
そうだな。世のためになっている訳だし・・・。
綺麗な壺より米一升―――飯も食えないのに、一輪挿しもないだろう。
それじゃ俺はこれから人と会う約束があるんでな。これで失礼するよ。
称賛する 【奈涸】
そこまでいわれると、ありがたいような気恥ずかしいような・・・。
まあ、これが俺の生業だからな。君に認めてもらえた事を今は素直に喜んでおこう。
それじゃ俺はこれから人と会う約束があるんでな。これで失礼するよ。
【們天丸】
お、あんさんかあ。聞いとるか?《打ち壊し》の話・・・。嫌な世の中やなあ。
とはいうても、顔が不景気だといっそう不景気になってまうしなあ。
せやな―――、こういう時は、笑おうやないか。なあ?
笑う 【們天丸】
笑う門にはなんとやら。やっぱり、笑うてた方がええ事も寄って来やすいってモンや。
はははははッ!!笑って行こうでえ!!
笑えない 【們天丸】
あんた、もてへんやろ?もうちょい余裕がないと吉原いっても浮くだけなんちゃうかあ。
ま、不景気やのに吉原もないもんか。は〜、まったく嫌なご時世やで・・・。
笑うのは苦手 【們天丸】
なんやて?笑うのが苦手やて?あんた、どういう生き方して来たんや?全く、難儀なやっちゃなあ・・・。
このもんちゃんがコツいうのんを教えてやるさかいに、覚えとくとええ。
おなかに力いれて―――、こうや!!わはははははッ!!
わかったかあ?村に帰ったらまた練習しいや。わいがいつでも付き合てやるさかいになッ。
広場
【村人】もうちょっと・・・、あとちょっと、こっちです。
【雹】ふむ・・・。では、このあたりか?
【村人たち】あ―――、ありがとうございます!!
【村人たち】俺たちだけじゃ運べなくてどうしようかと思ってたんです。
【村人たち】ありがとうございます、雹様。
【村人たち】やっぱりすごいですね、ガンリュウは!!
【雹】あ・・・ああ・・・。・・・・・・。
ん―――?いつからそこに・・・。
今の・・・見ておったのか?わらわは何か、おかしかったか?
おかしかった 【雹】やはり・・・、慣れぬ事などするものではないな。・・・・・・。
おかしくなかった 【雹】
そうか?・・・よかった。
そんなつもりはなかったのじゃが、是非、手伝いをと頼まれてのう。
あれほどの荷物を運ぶくらい、ガンリュウには造作もない事。
じゃが・・・、闘い以外の事に、このような事をするなど、初めての事じゃった。
何やら妙な気分じゃな。
どちらともいえない 【雹】そうか・・・。
【雹】ではわらわは行くぞ。まだ手伝って欲しいといわれておるのでな。 では、また・・・。
双羅山
【九角】
よう、お前か。
最近、倉庫にネズミが出るのだ。これが結構やっかいでな、被害も少なからずでている。
皆からいくつか退治の案も出ているんだが―――お前はどれを使っての処置が得策と思う?
【九角】
それは俺も考えた。確かに無難ではあるが―――敵もさるもの、これがなかなか掛からんのだ。
む、そうか。こういう時こそ嵐王の出番だな。嵐王に特製の罠を作ってもらおうではないか。嵐王の事だ、こういった道具もきっと上手く作ってくれるに違いない。
さて、そうとなれば早速行ってこよう。すまんが、また後でな。
【九角】
猫か・・・。案外いいかも知れんな。
働き者を一匹―――、そうだな、村の子供たちに話して良い猫を探してもらおう。
きっと頼りになる一匹を見つけてくれるに違いない。さて、そうとなれば早速行ってこよう。すまんが、また後でな。
鬼道衆に仲間が増える事になったら、真っ先にお前に報告するとしよう。
風祭 【九角】
ふむ、この任に澳継が向いていると―――お前は思うのか。
ははははッ!!おもしろい意見を聞かせて貰った。なるほど、澳継ならば猫より素早く立ち回るかもしれん。
そうとなれば早速行ってくるか。すまんが、また後でな。
【壬生】
お前か・・・。俺は山を見ていたところだ。
見ろ―――、季節外れに咲いた桜だ。明日の朝には枯れてしまうだろうから、こうして見る事のできた俺たちは幸運だといえるだろう。
無慈悲にそびえ立っているようで、その懐はこんなにも温かい・・・。山とは・・・、いいものだとは思わないか?
賛同する 【壬生】
お前もそう思うか・・・。
この山には、どことなく魂のようなものが宿っている感じがある。それゆえに俺は気に入っているのだろうな。
それが、俺の心を満たしてくれるから、か・・・。
否定する 【壬生】そうか・・・、残念だ。
どちらともいえない 【壬生】
お前にはわからないか・・・。お前のその困惑が、抱えているものが多すぎるせいでなければいいのだが。
心に余裕が無くなれば、本当に良いものや大切なものを見失う。たまにはこうして自然の中で息を抜く事も大切だぞ。
【泰山】
おす!!おでなあ、ごごが一番好ぎだあ。山の友達ど、一緒にいられるがらなあ。
あいづらど一緒なら、何が安心でぎんだあ。おめえもそういうのあるがあ?
ある 【泰山】おうッ!!いいよなあ、ぞういうのお。おめえが好ぎなのは、どういう動物なんだあ?
ない 【泰山】
ないのがあ?グス、おめ、がわいぞおだあ。山の友達、いねえのがあ。
そうだ!!おでの友達を紹介してやんぞお。熊介なんが、どおだあ?一緒に寝るど、あっだがぐで、気持ちいいど?
必要ない 【泰山】
おめえ、強えんだなあ。だげんど、なんが、ざみじいどお〜。今がらでも遅ぐねえ。この山でどもだぢいっぱい作るといいど〜。
そうだ!!おでの友達を紹介してやっがらなあ〜。
礼拝堂
【御神槌】
これは―――。今、聖書を読んでいたところです。
教えでは、羊は人に与えられたものなのだそうです。与えられた―――、そう、人が生きるために。
ずっと以前、私はそれを哀れな事だと思っていました。可哀相で、しかし、仕様のない事だと・・・。
ですが、それは違うと気づきました。
可哀相だと思うなら、羊を糧に生きなくてもいい。人は自分の好きなように生きる事ができるのです。
人はそのようにつくられている。そうは思いませんか?
思う 【御神槌】
人はどのようにも変わることができる。私はそう思っています。
昔、はじめて主の教えに触れた人々は主が我々にくれた恵みを、頭を垂れていただくだけでした。
でも今、我々は考えます。主の御心を―――主が本当に願っている事を。
より善い事を考え、実行する《力》。
主より我らが授かったのはそういうものだったのではないでしょうか?
思わない 【御神槌】
そうですか・・・。人は―――、変われないものだと・・・。
愚かなる人には英知の光は射さないのでしょうか?
私は・・・、そうは思いません。
興味がない 【御神槌】・・・・・・。 そうですか・・・。残念です。
【クリス】
Hi!!教会―――、とても大切な場所だね。
アメリカの教会では、子供たちがいつも唄を歌ってた。ココでもいつか、歌声が聞けるといいな・・・。
聞けるといい 【クリス】うん、全くだ。その為にも教会は、綺麗にしておかないと!!だから―――、掃除するのさ。
聞けなくてもいい 【クリス】
唄―――嫌いなのかい?
この国は、きっと、いい国になる。そうしたら絶対、良い唄が、必要になるよ。良い国には、どんな辛い時でも唄があるものさ―――。
みんなで唄う為に頑張ろう!!
聞くだけなら 【クリス】
Oh!!―――唄、嫌いなのかい?
ヘタでもいいんだ。みんなと唄う、これが良いのさ。心がhappyになれる!!だから、唄おうじゃないか。
民家
弥勒の工房
【弥勒】
君か・・・。顔色が悪い様にも見受けられるが、何か、悩みでもあるのか?もし―――、あるなら、この面を見るといい。この笑った老人の面をな。
この面は《翁》といって神に捧げられた面だ。翁は神からの言葉を聞く事ができるという。
この面の持つ貌―――《歓喜》、《畏れ》、《老い》。君は最初に感じたものはどれだ?
歓喜 【弥勒】
ふッ―――、君の心は素直だ。自然を美しいと思い、人とつきあう事を楽しいと思う事ができる。
君は自分を信じ、人を信じる事が出来る人間だ。今のままの心根で事に当たれば、自ずと迷いも晴れるだろう。
畏れ 【弥勒】
君は人を畏れているのだな。人と、その言葉を。
己の欲望をむき出しにすれば、人はたやすく離れていくものだ。だが、それを畏れていては先への道も閉ざされよう。まずは、己を信じてみることだ。
老い 【弥勒】
生きる事の辛さを知っている君は不幸であるかも知れない。だが、それを知るが故に人を幸福へ導く事ができる。
それこそを幸いと受け取るといい。心の持ち様とはそういうものだ。
九角屋敷
【九桐】
おう、お前か。丁度良い所に来た。
俺はこれから用事で山を下りる。ちょっとした、調べものでな。
とはいえ、これが当てはないんだ。
確定した場所に行けば知りたいことがすぐ判る―――、というものではない。
だから、お前がいう所から当たってみるのも面白いかと思ってな。
なるべく人の話を集めやすい場所に行くのが妥当だが―――お前だったら、この中でどこを選ぶ?
茶屋 【九桐】そいつはいい案だな。山を降りた後は喉が―――、あ、いや・・・。茶屋は人の出入りが激しいし、噂話を集めるのにはちょうどいいところだ。
蕎麦屋 【九桐】そうだな、着く頃には飯時だ。人の出入りも激しくなる。居座って話を集めるには最適かもしれないな。
長屋 【九桐】
そうだなあ、末端の情報を集めるには最適な場所だが・・・、俺たちの格好じゃ、ちょいと目立ちすぎるかもしれん。
まあ、そろそろ陽も落ちるし、それほどの心配はいらないか。
【九桐】
それじゃ行くぞ。・・・・・・。
―――お前も来るんだよ。しっかり目を見開いて、聞き耳を立てて、な。
なに、情けないようにも思えるけど、これで結構大事な仕事だ。さ、行こう―――。